寒月 16

〜はじめのお詫び〜
大人だけど、弱くて優しい人の顔ですね。

BGM:Percy Sledge When a Man Loves a Woman

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「初音、といったか。いい飲みっぷりだ」
「恐れ入ります」

きらりと見返した目ははっきりとした意思を感じさせて、土方はこの妓を気に入った。女としては先ほど部屋に入った時に感じたように、初めての事に緊張と怯えていたくせに、それを見せまいとする意思の強さはなかなかの気構えだといえよう。

「お前さんは、俺が誰だか知ってるんだよな?」

こくりと頷いた初音が盃を戻して再び酒を注いだ。

「新撰組の土方副長でいらっしゃいます」
「どこぞの大店の主人の方がよかったんじゃないのか?」
「いいえ…叶うことなら……」

先を続けなかった初音の言葉の先が、町人ではなく武士である自分を望んだのだと分かって、ふ、と土方はゆるく笑った。武士といえるかどうかも狭間な自分に何を言うのやら。

すっと立ち上がると、着流しに羽織っていた羽織を脱いだ。すぐに初音がそれを預かって皺にならないように丁寧に掛ける。土方は隣の部屋の襖を開いて振り返った。

「三日、通しで借り切ってやるがな。俺は四つには帰らねばならん。……くるか?」

差しのべられた手に、一瞬ためらった白い手が重ねられた。

 

自ら帯を解いて、着物を肩から滑り落とすと、真紅の真新しい襦袢がその初々しさを漂わせる。着物を脇へよけると、土方の帯へ手を掛けて、朱色の襦袢をその肩にかけた。

肩に置かれた白い指先が震えているのを目にして、初音を抱きよせながらその指先を口に含んだ。決して荒れてなどいない手は、これまで大事に育てられたのであろう、育ちをうかがわせる。ゆっくりと腰を落として初音を横たえると、丹念に舌先で舐めあげていた指先を離した。

「案ずるな。悪いようにはしない」
「は…い」

指の間を舐めあげられて、ぞくぞくした感覚に頬を染めていた初音は、こくりと頷いた。よほどの馴染みでなければ、決して唇を合わせることのない土方が、優しく初音の唇を舌先でなぞり、堪え切れずに初音が吐息を漏らすとその吐息を飲む込むように唇を合わせた。

優しく、ゆったりと震える初音に舌を絡めて、その緊張を解いていく。羞恥と緊張にぎゅっと目を閉じた初音の瞼から耳元までを口付けでなぞっていくと、しゅる、と衣ずれの音と共に開かれた襦袢の間に大きな手が滑りこんだ。

しっとりと手になじむ肌に驚いて、自分がこの妓にこれから教え込むのだということも忘れそうになる。耳元から首筋を辿り、鎖骨のあたりに赤い跡を残 した。少しだけ体を起して、まっ白な胸に息をのんで見つめた。両の手を受け止める胸は白く柔らかで、妓達のように熟してはいないまだ青い果実を思わせる。

薄く色づいた頂きに舌の先が触れると、白い肌が揺れた。

「んっ…」

周囲の色づいたあたりまでを口中に含むと、存分に舐りながら、時折軽く頂きに歯を立てると大きく胸が上下する。もう片方の胸は、指先で弄んでいるうちに、固くなった先を指先できつく摘みあげては指の腹で転がしてやると、徐々に朱色に染まりはじめた。

「はぁ…ぁ…ひっ…」
「怖がるな…」

初めての感覚に翻弄されている初音に、胸から唇を離した土方がささやいた。唾液に濡れて光る頂きをもう片方のように、指先で弄びきゅっと摘みあげると、苦しげに柳眉がひそめられた。

「あぁっ……っ」

その姿を見下ろしながら、思いのほか初音に溺れそうな自分に土方は自嘲気味に口元をぺろりと舐めた。

きっとこの妓はすぐに天神どころか太夫になるかもしれない。

両の手は胸を弄びながら、再び顔を寄せて白い腹から下腹部へ唇を落としていく。これも、よほど惚れこんだ妓でなければ、様々な客の相手をする妓達の ことだから、いらぬ病をうつされないようにするものだが、汗に光る腹部から足にかけて口付けると、片腕を添えて柔らかな太ももの辺りを抱え上げた。片足を 肩先で抑えるようにして開かせた足の間に滑り込むと、内股の間に口付けて赤い跡を残した。

「あ…や…ぁっ」

露わにされた秘所に怯えた初音が身を捩った。土方は体を起して、胡坐をかくと自分の膝の上に初音の足を引き寄せて抱え上げた。

「やっ、いやっ!」

妓が床の中での姿を嫌がるなど、特に水揚げという今、許されるわけもないが、本能的に恥ずかしい姿をさせられて初音は胸のあたりに両腕をぎゅっと握って声を上げた。
しかし、構わずに土方は腕をまわして足を開かせたまま、茂みをかき分けて、初音の秘所を押し開いた。

「いいか、こうして濡れてくればそう痛くはない。胸だけでもこれだけ濡れることができれば、大丈夫だ。客の中にはいきなり始めようとする奴もいるからな」

濡れててらてらとした花びらのような秘所の中に隠れた蕾を指先で剥き出しにすると、そこに舌を這わせた。胸の頂きを転がしたときよりももっと優しく細かく舌先を震わせて、蕾を舐めあげる。

「あああっ、はっ、んんっ」

体の底から感じる場所を舐められて、初音の体は大きく浮き上がった。それがさらに土方の動きを補って、苦しい姿勢のはずがその快感に体が震える。

「ああっ、土方、様っ」

強く吸われ、歯でひっかくように蕾を転がされると堪らず、初音が叫んだ。
一旦、口を離して今度は片手で花びらを開いた。初音がぐったりと荒く息をする間に、土方は口元を拭って微笑んだ。

「いいじゃないか。これならすぐに太夫だ」
「は…ん…ありが……とうございます。んああああっ!!」

語りかけてほうっと体が緩んだ隙をついて、押し開いた花の中へ、中指を差し入れた。もうたっぷりと濡れたそこは難なく土方の指を飲み込んだ。

「っ、ずいぶんときついな」

ゆっくりと指を動かして中を探る。締め付ける力だけではなく、まだこなれていない中は指先の侵入に襞の一つ一つまで震えてくる。中指を動かしながらさらに二本の指で、入口の当たりをやわやわともみほぐす様に動かすと、どんどんと溢れてくる蜜が土方の手を濡らした。

「どうだ?痛いか?」
「あっ、はぁ…っ、痛く…ありませ…っ!」

花びらを開いていた方の指で、先ほどの蕾も一緒に撫であげるとぎゅっと体の中が締まってから、呼吸とともに、大きく中が波打った。
ゆったりと指を動かしながら、満足そうに土方が囁いた。

「気をやったのか?」
「はぁっ……わかりま…せん……でも、耐えられ、なくて……んぅ……っ」

全身に汗が滲んで、自分がどうなったのかもわからないまま、息だけが苦しくて初音は浅い呼吸を繰り返した。微笑んだ土方は、指を抜いてそっと膝をずらして初音から離れた。初音が、滲んだ涙と汗に顔を覆っていると、不意に土方がその手を掴んだ。
そっと手をどけさせると、口に含んだ酒を飲ませる。

乾いて、苦しい喉に酒が流れ落ちた。いくらか呼吸がましになっていくまで、土方は優しく初音を抱き締めてやった。

 

 

 

 

 

 

– 続く –

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