大人のシルシ 6

〜はじめの一言〜
おやー。うちでセイちゃんがここまで迫るのは初めてではないだろうか

BGM:
– + – + – + – + – + – + – + – + – + –

「な、何してるんです!神谷さん」

はっと、我に返った総司がセイの手を振り払っても、すぐにセイの手が伸びて総司の袴の前を解ききってしまった。端折り上げた長着の間から下帯が覗いている。するりとセイは片手を滑り込ませると下帯の前垂れ内側を引いた。

「神谷さ……!」

セイの手を除けようとした総司がびく、と動きを止めた。狼狽えて、彷徨わせた総司の目がたまらず、細められた。ひやりと冷たい手が総司自身に触れたからだ。
総司の目には、セイの月代と髪が揺れている。

「……先生。私だって、もう子供じゃないって知ってほしいんです」

セイが顔を伏せたままだと思い込んでいた総司の目に、上目遣いのセイの黒い目が飛び込んでくる。じっと見つめてくる潤んだ瞳が、総司の中に熱を流し込む。

はじめはひやりとしていたセイの手が、緩めた下帯の間に入り込んで総司の熱いものを直に握っているうちに同じ体温になっていく。
驚いて、後ろに下がろうとしていた総司がセイの目に釘付けになっている間に、足の間に身を屈めたセイは、もう片方の手を添えて緩めた下帯をずるりと引き、徐々に熱を高め始めたものに顔を近づけた。

「っ!」

セイが近づいてきたために、後ろに体勢を崩した総司が足を逃がすと、伸ばした爪先に膳が当たって、がしゃん、と大きな音をさせた。
まるでその音がそのまま総司の胸の衝撃を表していた。

まだ日も落ちていないこんな時刻に、しかもセイの方からこんな真似をしてくるなんて、晴天の霹靂どころではない。

セイの想いはわかっていたし、自分の想いも薄々は伝わっているとは思っていたが、セイが自分から手を差し伸べてくるなど、考えもしなかった。
ぺろりと小さな舌を覗かせたセイは、先端を指できゅ、と押すと開いた小さな口に舌を這わせた。

「ぁっ……!」

小さく総司の喉の奥で上げた声に、後押しされたセイが、つるりとした先端ごと口に含む。唇が折り返った首のあたりを締め付けてきて、一気に総司の熱がそこに集まってくる。
先端をなぞっていた舌がぬるぅっと、つるりとしている部分をくまなく動き回り、握りしめた手が上下に動く。

「か、神谷さ……」

総司の掠れた声を聞いて、上目使いにセイが総司を見上げた。
本人にその自覚がなくても総司にとっては、眩暈がしそうなほど扇情的で、くらくらとしてくる。上気した、困ったような総司の顔を見て、セイはもう一度顔を伏せた。

セイの口には少しきついくらいの熱を口に含んだセイは、細かく舌先で熱の塊をくすぐり始めた。衆道なら衆道でもいい。
ただ、想い人と思われなかったとしても、男同士としてでもいいから、自分にも伝えられる熱があることを総司に知らしめたい。

「う……、はっ……」

噛み締めた奥歯の間から声が漏れる。

こんな風にされることも初めてで、戸惑いながらも堪えられなくなった総司が畳についていた片手をあげて、セイの頭を掴んだ。総司の指に引っかかって引っ張られた髪がくずれて、元結が切れる。ばさりと広がった髪をくしゃっとかきまわすようにセイの頭を掴んだ。

「……神谷さんの、とっても熱い……っ」
「ん、ふ」

小さく鼻を鳴らしたセイが、一生懸命、舌を動かしている姿にごくっと喉が動いた。

「……もっと……、奥まで」

囁くような声に、喉の奥の方まで懸命に咥えようとしたセイの頭をぐっと総司の手が押した。強引に口の中に押し込まれたセイが、小さくむせながらも懸命に手を動かす。

少しずつ、口の中で質量を増していく熱の塊に苦しくなったセイは、口を離すとむくむくと根元のあたりから道筋のように膨らんできたところへと舌を寄せた。

「その……まま、舐めて……っ、あっ」

驚きも何もかも、どうでもよかった。セイの口をいっぱいにしている自分にごく、と興奮が増していく。

「……神……、もう、いいから」

このままでは達してしまいそうになった総司は、セイの手を掴んで強引に引き起こした。口元についた唾液を舐めとって、セイの腕に手を伸ばす。

いくら初めてでも、こんな一方的な真似をさせておくつもりなどなかったのだ。自分の脱ぎかけだった袴を煩わしそうに脱ぎ捨てる。抱き寄せようとしたその手を止めたセイが総司の帯に手を回した。

「私に……、させてください」

総司を抱きしめる様に手を回したセイが、丁寧に帯を解いた。ほんの僅かも待てないくらいの総司を焦らすかのようにセイは、帯を引き抜くと総司の長着を押し開く。セイが総司の手を取って、その胸元を押し開く。

「先生……」

総司の体に腕を回すと、鎖骨のあたりにちゅ、と口づけたセイは押し開いた胸の両手を乗せた。肌の感触を楽しむように両手で総司の胸や腹を撫でていくと、総司の目が深い欲望の色に染まる。

胸にやんわりとした口づけを残しながら、総司の腰に手を回すと捻り上げた下帯の端を解いて、途中まで緩んでいた下帯を外した。
戒めがなくなった総司は自分で腰を上げると下帯を引き抜く。セイの肩に手を置いた総司が、セイの手を掴んで強引に引き寄せた。

「……っ、神谷さん!」

口づけようとした総司の顔を両手で包み込んだセイが自ら、軽く口を開いて総司に口づける。息の上がった総司を宥める様にセイの舌がゆっくりと総司の口中に滑り込む。

その小さな舌を受け止めた総司は、大きく抉じ開ける様にして、セイの口中へ舌を差し入れた。苦しそうに眉を顰めたセイに夢中で貪るような口づけを与えていく。

総司の顔から片手を引いたセイは、自分の腰に手を回し、自らの袴を解き、帯も外してしまうと後ろ手に放り出した。総司は長着を脱いで、襦袢も肌蹴た姿だが、セイは初めて着物の帯を解いたのだ。

互いに襦袢だけを身に着けた姿からセイは少しずつ総司に向かってもたれかかるようにして、ついに押し倒してしまう。
横になった総司は、腹のあたりに膝をついて跨った格好のセイを見上げた。

「沖田先生……」

広がった髪を耳にかけたセイが総司には別人のように大人びて見える。総司の襦袢の前を押し開くセイの前は押さえるものがなくなって、胸だけが晒に覆われて、前身頃の合わせ目から素肌が覗き、太もものあたりも見え隠れしていた。

 

– 続く –