小我の渇望

〜はじめのお詫び〜
エロにてむにゅ、の続きとリクエスト頂きましたので。
BGM:YOKO KANNO SEATBELTS Tank!
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「断る!」

その一言で三番隊の隊部屋から叩きだされた総司は、行き場をなくして彷徨った。気がつくと幹部棟の小部屋に長身の姿があった。

セイの香りが色濃く残る小部屋に座り込んだ総司は、両手で頭を抱え込んだ。

「前は……、前はさらしを巻いてても谷間なんかなかったのに……」

頭を抱えていた両手を自分の方へと向けると自然とその手がふくらみの形をとる。木の枝から落ちそうになったセイを咄嗟に胸に抱えた、総司の肩に触れた柔らかなふくらみを思い出してしまう。

自分自身が抑えきれなくて、壁に背をついたままずるずると座り込んだ。一度連想すると、どんどん思い出してはいけないと思う事ばかりが思い浮かぶ。

抱きつかれた時の甘い香り。
抱きあげたときの腰の細さ。
抱きしめたときの柔らかさ。

―― って、そんなに密着っ

次々と思い出してしまう事でどうしようもなくなって、両手で自分自身を押さえた。

今まで、隊士達が深夜に空き部屋に籠っていることがあっても苦笑とともに、生理現象だと流していた。自分自身もずっと女子に対してこれほどの想いを感じたことがなくて。

誰かを想って、自身が昂ぶるなど思いもよらなかった。

彼女を汚すようでいけないと思いながらも、堪え切れずに手が伸びる。一度、自身を握りしめてしまうと、自然と手が動いた。

「……っぁ」

箍の外れた衝動は、強く総司を突き動かした。
障子の外からの薄い明りだけの中、目の前には彼女の姿。かつて、傷に薬を塗ったときのように背を向けた彼女が肩から着物を半分だけ滑り落とす。

真っ白な肌に目を伏せた総司が唇を寄せると、甘い彼女の香りを思い切り吸い込む。部屋に残るセイの香りがより総司を煽る。

先端から滲んだものが指先に絡みついて、乾いた皮膚を擦る音が粘着質な音へと変わっていく。

振り返った彼女の真っ白なさらしを引くと、先程思いがけず触れてしまった、柔らかなふくらみが桜色に色づいて姿を現した。

「かみっ……」

ぎりぎりで唇を噛み締めて飲み込んだ呼びかけはそのままごくりと喉の奥へと消える。
目の前には、見慣れた涙にうるんだ眼が自分を見上げていて、片袖を脱いだ姿で、自分の目の前に跪く姿。白い、小さな手が伸ばされて、昂ぶる自分を包み込む。

片手の指の間に、先端を滑らせるとまるで小さな口に舐められている気がした。

「あっ、……ぅ」

ありえないことだと思いながらも暗闇の中に浮かび上がった白い顔に唇の赤さだけが際立って目を引く。その小さな口からちろちろと覗く、赤い舌先が総司の先端をぴちゃりと咥えた。

切なくゆがめられた表情がぞくぞくするほど艶っぽくて、見とれていると、想像以上の快感が襲ってくる。
すぼめた口に出入りする自分と、つるりとした先端からぴくぴくと溢れんばかりの精をため込んだ道筋を可愛らしく顔を覗かせた舌がくすぐって、目の前がくらくらするほどの快感に、思考回路が麻痺していく。

狭い室内に荒い息遣いと規則的に繰り返される粘着質な音。

徐々に加速していくそれが、自分を虜にする幻覚と入り混じって、限界が近づく。

 

沖田先生……気持ち、いいですか?

 

「ふっ……くっ、っセイっ」

真っ白に弾けた先は、彼女の柔らかなふくらみで。

最後の呼吸までも絞りだそうとする本能のままに、手を動かした総司は、荒い呼吸が徐々に緩慢になって行くのと同時にぐらりと畳みの上に横倒しになった。

現実は、薄暗い部屋の中で、畳の上に吐き出されて自分の手の平でも受け止めきれないほどの情熱。

 

懐から手拭を出すことも億劫で、長着の裾で畳を拭って、ついでに手についたものを擦り付けた。

自分自身に腕を回すと、どんよりとした瞼を下す。瞼の裏には、先程の艶めいた表情ではなくて弾けるような笑顔が浮かぶ。

「神谷さん……」

こんな妄想など、ありえはしないのだけど。
せめて一日でも長く、一刻でも長く。傍にいられたら。

柔らかさと甘い香りにもっともっと私を惑わせていいから。

 

―― どうか……

 

 

– 終わり –