続・湯気の向こうに 5

〜はじめのお詫び〜
大変大変。w いちゃいちゃ・・・してますでしょうか。ご満足いただければ幸いです。
BGM:K.D.ラング Hallelujah
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「は……」

今度は、先ほどの記憶を辿りながら、耳の輪郭をなぞっていくと熱い吐息を耳に吹き込む。びくっと身構えて、セイは総司の手をなんとか押さえようと動 く。止めようとセイが動けば動くほど、もっとわからせたくて首筋に歯を立てると同時にきゅっと強く胸の先を摘みあげるとセイの手が緩んだ。

「や……、せんせ……、ほんとに、ダメですっ」

きっと、その体が感じる感覚にはまだまだついていけないのだろう。ついさっきも、きっと自分がどう感じて、どうなったのかもわからないでいる。

「駄目じゃないですよ。ほら」

まだ熱くて、とろりと溶けだした愛液を求めて指を這わせると、ぐちゅっと濡れた音が聞こえる。幾度も指が花弁の中を往復する度に、身をよじらせるセイを見つめながら囁いた。

「ね?さっきも言ったでしょう?女性は感じればこんな風に……」
「あっんっ、や……っ」

ゆっくりと中指をセイの中に沈めると、鈍い痛みにセイがぎゅっと体を強張らせた。セイが感じる場所に次々と愛撫を重ねながら、抜き差しを繰り返す。男とは違って、初花を迎えても女子は自発的に行動しなければ感覚を目覚めさせる者は少ない。

「あ、ああっ、く……ぁ……」
「いやじゃないでしょう?」

再び熱を帯び始めた体を持て余し始めたセイを求めて、ぎりぎりまで指を引き抜いたところに、総司が深く自らを沈めた。

「あっ、ふっ……セイ、いいっ?」
「あ!!あ、あ……」

まだ本来ならば痛みも痺れも伴って感じるには間があるだろうが、慣れないなりに丁寧な愛撫で高められた中へと、にじにじ踏み込む。ほんの少しだけ先ほどよりも動きやすくなった分、さらに熱く蕩けた中に包み込まれて、総司は体中の血が流れ込むような気がした。

この後、どうなるとか、どうしたいとかそんなことは今はどうでもいい。

想いをわかってほしい。

一つに溶け合う感覚でどんなに幸福感に満たされるのか。

少しずつ、セイの様子を見ながら徐々に早く、深く、穿っていく。

「はっ……、ぁ、セイっ」

快楽と、本能に引きずられた総司が思わず吐息を漏らす。息が止まりそうなくらいの圧迫感に押し上げられて、もう苦しげな荒い呼吸だけを繰り返すセイに覆いかぶさると、汗がにじんだセイの額をかき上げた。
両手でセイの体を包み込むと、その瞬間へとセイを引き寄せた。

「んぅぅぅっ!!」

ぎゅうっと総司がセイを抱きしめるように、セイの中が総司をきゅうっと包み込んだ。柔らかいのに強く総司を締め付けて、痙攣するセイの中に総司も絶頂を迎える。

かろうじて残った理性が総司を最後の瞬間にセイから離れさせた。セイの体を汚さないように身を引きかけた総司にセイが腕を回してきて、抱きついてきた。

「あぁっ、セイっ」

間に合わず、再びセイの腹の上に熱いものが大量に吐き出された。堪えきれなかったことを、しゅん、として総司が詫びた。

「ごめんなさい……」
「先生……っ!」
「わわっ」

少しだけ体を離していた総司をセイがぐいっと引き寄せた。ずるっと手が滑って、セイの体の上にべしゃっと総司が密着してしまった。
総司の首元でぐす、とセイが息を吐きながら鼻をすすった。

「先生……、すき……」

大きな喘ぎとは比べ物にならないくらい小さな声でセイが囁いた。
ふ、と笑った総司はセイの耳にちゅっと口づける。

「水、ですけど。体、拭いてあげますよ。手を離して」

ゆるっと、セイが腕を緩めると、総司がそっとセイの体から離れて、放り投げていた手拭に手を伸ばした。手桶に湯船から水を汲んで手拭を濯ぐと、自分の腹にべったりとついた自分の体液を拭った。
もう一度きれいな水で手拭を濯ぐと、きつく絞ってセイの傍へと戻る。ぐったりと投げ出していた手からきれいに拭いて、体に残した紅い跡を確かめた。

何度か水を入れ替えて、自分が汚した腹もきれいに拭いていた総司が、そのまま足へと手拭を滑らせると慌ててセイが起き上がった。

「だ、だめっ。自分でやりますっ」
「いいから、いいから」
「やややや、だ」
「今更何を……」
「本当にっ!お願いですから」

慌てて、放り出していた着物をかき寄せたセイにそれ以上、無理強いしても可哀想なので、頷いた総司は少しだけセイから離れて頭から水をかぶった。
固く絞った手拭で体を拭くと、手早く着物を身に着ける。きれいにした手拭をセイに渡すと、俯いてしまったセイを見て苦笑いする。

セイの頬に触れて、総司は屈みこんだ。

「脱衣所にいますから、着換えていらっしゃい」
「せ、先生はお戻りになってください!後から行きますから」
「いいから。風邪をひくから早くなさい」

立ち上がった総司はセイを置いて脱衣所に移動した。もちろん、セイを置いて一人で隊部屋に戻るなんてありえない。
自分の体に腕を回すと、壁に寄り掛かって目を閉じる。

明日になれば、これからどうすればいいかと悩むかもしれない。セイが悔やむかもしれない。それでもなお、今はこの幸福感を味わっていたかった。
言葉だけではなく、心を添わせることも。

愛しいからなのか、快楽故に深まるのか。

かた、と身支度を整えたセイが湯殿を片付けて戸を開けた。てっきり総司はもう戻ったものと思っていたセイは、暗闇の中に総司の姿が立っていて、びくっと驚いた。

「せんせ……?」
「もどって、休みましょう。目が覚めたら」
「覚めたら……?」

セイの問いかけには答えずに、総司はセイの額に口づけた。ふわりと笑う総司の顔にセイも頷いた。

きっと急には難しいことも、今の二人なら……。

湯気の消えた向こうには、窓越しに輝く月が見える。月下に花咲いた一つの恋が忍びやかに匂っていた。

 

– 終わり –