願い事はひとつ 拍手お礼文 現代編

〜はじめのお詫び〜
クリスマスのお話にはおまけがついてました。
BGM:小田和正 My home town
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マンションに帰った総司と理子は、それぞれにコートを脱ぐとリビングのエアコンをつけた。

「寒かったですねぇ」
「ほんと。クリスマスらしいですよね」

未だに理子の部屋は玄関の傍の部屋で、休みに入ったら部屋の模様替えを兼ねて色々と移動しようと話してはいた。まだ、気恥かしくて、このままでも理子はいいとも思っていたが総司が絶対に、移動させると言っていた。
とにかく、部屋も冷えているのでお湯を沸かしてお茶を入れようと理子はキッチンに立った。

「私は明日まで仕事ですけど、総司さんは?」
「私も仕事ですね。仕事納めの挨拶も明日済ませてしまおうと思ってますよ。本当のクリスマス当日は仕事はありません」

総司はホテルで酒を飲んでいるし夜も遅いので、烏龍茶を入れて総司の前に出した。総司がそれを見て顔を上げた。

「何も食べないんですか?」
「あ、ええ。もうお腹空いたのを通り越しちゃったし、こんな夜中に食べたら太っちゃいますもん」
「えぇ~。駄目ですよ、そんなの」
「駄目って言っても……」
「ちょっと待って」

そういうと、総司が冷蔵庫の中から運んできたのは、小さなサンドイッチとフルーツの山だった。
一口大のサイズで、色々なものが挟んである。テーブルの前に座った理子が驚いた。

「やだ、いつの間にこんなの用意して……」
「貴女の方が先に出かけたので、もし帰ってきて食べてなかった時のために用意しておいたんですよ。少しでも食べてくださいね」
「ありがと……ございます」

そういうと、理子は手をのばして少しずつ食べ始めた。何事か考えていたらしい理子が、言いにくそうに総司に向かって話しかけた。

「あの、ね?私はこれ、頂いてしまったんだけど……。一応、考えてはいるんですけど、総司さんは何かクリスマスに欲しいものありますか?」

仕事だったので、総司にもらった指輪はネックレスに通して首元に下げていた。
それに触れながら理子が、おずおずと総司に問い掛けた。一緒に住んでいて、徐々に好みがわかるようになってきていても、それはそれ、これはこれ、というところだろう。

「そんなの考えてもいませんでしたよ。お願いしてもいいんですか?」
「もちろん。その、もしかしたらちょっと遅くなっちゃうかもしれませんけど」
「そうですねぇ……」

しばらくして、離しながら食べ終えた理子が片付けようとすると、手で制されて総司がキッチンに運んでいった。
そこから何かを思いついたらしい、総司が笑顔で戻ってきた。

「思いつきました!物じゃないんですけど、聞いてくれます?」
「え、ええ。私でできることなら」
「じゃあ……」

ひそっと囁かれたことに理子が赤くなった。

「いや、絶対無理っ!!」
「お願い、聞いてくれるって言ったじゃないですか」
「だ、だって、そんなの無理!!」
「いいから、いいから」

ぐいっと引っ張られてそのまま抱え上げられるとそのまま洗面所に連れ込まれる。

「やだっ、ほんとに無理!!一緒にお風呂に入るなんて無理~」
「え~。お願い、聞いてくれる約束ですよ?」

 

ばしゃっ

「……っ」
「続きは、部屋に行きましょうね?」

 

メリークリスマス。

 

– 終 –